ワイ「そうだ.赤道儀を作ろう.(唐突)」
そう思ったのは確か9月の始めだったような気がする.ニート生活による慢性的な金欠から,新たにバイトを始めることによって,これからの財政に多少の希望が見えた時であったと思われる.
いい加減ソフトフィルタにも慣れ,星空撮影に新たな刺激が欲しいと考えてた時,このような記事が目に入った.
簡易自作赤道儀のススメ | GANREF
赤道儀を作ろう! | GANREF
この記事を見つけたときは雷に打たれたような衝撃が体を迸った.(直喩)その後いろいろと調べていたところ,このような記事も見つけた.
ポタ赤シリーズ
これによると,自作赤道儀は2つに分けられるらしい.2枚板式の簡易ポタ赤,星空撮影架台,この2つだ.俺は――
俺は『8月なのに卒研が終わってしまった学生』.既にやることがない.
俺は『暇』を持て余している.
あれは雨の降る寒い日だった――
ということで今回は星空撮影架台の方を作る.三脚持ってるし.
ところでこの手の自作ポタ赤はある致命的な問題を抱えている.それは手動追尾の為,追尾時間が長くなれば長くなるほど誤差が増えるというものである.そら(時間決めて定速度でネジ回して三角形の1辺を増やしたら)そう(誤差が蓄積していく)よ.
そこで私はこう考えた.ネジの回転数を電子制御すれば誤差蓄積の少ないポタ赤が作れるのでは??しかも都合のいいことに,卒研でこれに向いているステッピングモータを用いた回転数制御を会得していた.
ということで今回は設計(という名の構想)を行っていく.
STEP1:まずは設計が可能なのかを調べる
実現不可能なのに設計を始めるのは時間の無駄である.そこで,まずは「ステッピングモータ(以下STM)を用いた制御が可能であるのか」を調べたいと思う.
ここでは「STMに1分間に何ステップ入れれば誤差を少なくできるのか」を求められれば、設計可能と判断する.
そもそもなぜ手動で制御すると誤差が蓄積するのかというと,「角度が三角関数に基づいて変化するから」である.
ここで定義として,以下の量を定義しておきたいと思う.
このとき,角度θは以下の式で表すことができる.(単位[degree]は[°]と読み替えてほしい.)
これをグラフにすると以下のようなグラフになる.
見ればわかる通り,を一定速度で変化させても,角度変化は一定とならない.これを一定角度変化にすることが,今回の大きなミッションである.
赤道儀として,θは0.25[degree/min]で動かすのが絶対条件である.(そこら辺の詳しいことは各自ググって欲しい.)よって,時間t[min]を用いてθの式は以下のようにも示せる.
以上の式より,以下の式が導ける.
--(1)
θを一定速度で変化させるためには,d(t)をtan関数に基づいて変化させればよい.その為d(t)を
--(2)
と置く.すると,(1)式は,
となり,これを(2)式に代入すると,
--(3)
となる.
ここで,微動ネジに用いるネジのピッチをP[mm],STMの1ステップ回転量をN[degree/step],STMに入力するステップ数をS[step],STMにS個のステップを入力した際に得られる総回転量Nt[revolution]とする.
(ネジのピッチについてもググって.どうぞ.)
すると,総回転量NtとネジのピッチPを用いて,d(t)を表すことができる.(1回転したらP[mm]移動する.)
ここで,総回転量Ntは次式で表される.(360[degree]回ったら1回転)
--(5)
(5)式を(4)式に代入し,
--(6)
となる.
これを(3)式に代入すると
となり,tに1,2…と入れてやると,その分間に入れてやるべきステップ数が求められる.
ここまで計算出来たので,このプロジェクトは実現可能である(加工は部室でいくらでもできるので無問題だし,パーツ類も余ったものを使うから,残る不安要素は制御プログラムが書けるかどうかだけだった).
STEP2:部品選定 以降はPART2以降に記す.