残念ながらお金を用意することができませんでした

カメラやらアイマスやら電波やら電気電子やらいろいろと書いていくやつ

コミケ参加2回目でLuaLaTeX+jlreqで八神マキノ×無線の同人誌を作った話

電子版と物理書籍版を通販してるので買ってください!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(クソデカ大声)

実は2023年の抱負として本ブログに記載した「2つ大きなアウトプット」の1つがこれである。

さらに,来年の目標としては,2つ大きなアウトプットを出したいと考えている.詳細は伏せておくが,割とデカいアウトプットを出すべく,今年後半からずっと仕込みを行っているのでお楽しみに(宣言して退路を断つスタイル).

andrew.hatenablog.com




きっかけ

直接的なきっかけとしては、2022年夏のコミケ(C100)にふらっと参加したことである。 東京九州フェリーに乗りたいと思い、福岡に帰省したのちに東京九州フェリーで関東へ向かった。 ちょうどC100とSETSUNA BEATが開催される時期であったため、それぞれチケットを入手して参加した。

その参加したC100で「作り手の熱量」に浮かされてしまった。 自分も趣味で回路を作製したり写真を撮ったりと「作る楽しさ」はよく知っていたが、本も作ってみたくなった。

キラキラと熱を帯びた 夏の日差しに僕ら浮かされて ドキドキのその向こうを見たくなったんだ 少し怖いけど

そしてそれを後押しするようにアイマスの公式からこのような動画が出てきた。

アイマスPならご存じ、PROJECT IM@S 3.0 VISIONの発表である。 この発表の中で以下のようなスローガンが発表された。

「CRE@TE POWER WITH YOU! あなたらしさが、きっと誰かの力になる。」

これは作ってもよろしいということだな??

前々から無線の教科書的な本、でも教科書のようにガチガチではなくカジュアルに読めるようなものは作ってみたいと思っていたため、 これらに後押しされて、アイマス×無線本を書くこととなった。 C100が一般参加、C101には参加していないため、2回目でサークル参加という無謀の開始である。




申し込み

申し込みの際に一番迷ったのはジャンルである。 コミケの申し込みの際にはジャンルを指定する必要があるが、「アイマス要素のある無線の解説本」となると、どのジャンルを選択すればよいのかが分からなかった。

該当するジャンルは「213 同人ソフト」、「232 アイドルマスター」、「611 鉄道・旅行・メカミリ」のいずれかである。 今回の本については「通信工学の教科書の濃度を薄めてアイマス要素でラッピングした」ような本であり、 「(PC及びIT関連)評論・情報」に該当しそうと考えたため、「213 同人ソフト」として申し込んだ。




書く

本のコンセプトとしては、本筋は数式を使わずに、なるべく図表を利用して直感的に理解できるように記載した。

本文についてはLuaLaTeX+jlreqで出したPDFをそのまま印刷所に入稿した。 印刷所はサンライズパブリケーション様のオンデマンド印刷を利用した。 トンボは不要、ノンブル位置についてはこれで問題なさそうである。

以下に最低限印刷可能なデータの体裁を保つために必要と思われるコマンドを示しておく。

\documentclass[
    lualatex,
    paper=b5j,
    book,
    openany,
    twoside
    ]{jlreq}

\usepackage{luatexja}
\usepackage[x-1a1]{pdfx}%PDF/X-1aに準拠させるためのコマンド。実際に準拠するかの保証はないが気休めに。

\jlreqsetup{mainmatter_pagebreak=clearpage,frontmatter_pagination={arabic,continuous}}%余計な空白ページを作らない&通しノンブルとするためのコマンドだった気がする。

\usepackage[twoside,top=15truemm,bottom=15truemm,inner=20truemm,outer=15truemm]{geometry} %余白を指定。物理書籍で読みづらいページ内側の余白を大きくしている。

\usepackage{luatexja-fontspec}%使いたいフォントがあれば指定
\setmainfont[Ligatures=TeX]{SourceHanSansJP-Regular}
\setmainjfont[BoldFont=SourceHanSansJP-Bold]{SourceHanSansJP-Medium}

\begin{document}
\NewPageStyle{main}{nombre_position=bottom-right} %ノンブル(ページ番号)の位置指定
\pagestyle{main}

%つらつらと内容を書いていく

\end{document}

また、今回の本のポイントとして、キャラクターがチャットアプリライクなUIで会話することで本文の内容の概要を示す点があげられる。 チャットアプリといえば吹き出しであるが、吹き出しを表示させるための適当なコマンドがなかったため、下記ツイートを参考に自作した。

PDFのビューワーで見るとズーム倍率によっては吹き出しの三角部分に細い線が見えることがあるが、印刷には特に支障ない模様。

%下記コマンドを書いたうえでnewcommandすること
\usepackage{varwidth}
\usepackage{tikz}
\usetikzlibrary{calc}

\newcommand{\chatleft}[2]{
    \begin{flushleft}
        \begin{tikzpicture}
            \node (chatLeftNode) at (0,0)
            {\includegraphics[height=2cm]{{#1}}};
            \node[coordinate] (chatLeftNode_call)
            at ($(chatLeftNode.north east)+(0.5,-0.1)$)
            [
                draw, 
                thin,
                rectangle,
                rounded corners, 
                inner sep=0.8em,
                fill=white!100, 
                anchor=north west]
            {
                \begin{varwidth}{0.77\linewidth}
                    {#2}
                \end{varwidth}
            };
            \node[coordinate, xshift=0.3](call_upper) at ($(chatLeftNode_call.north west)+(0,-0.2)$){};
            \node[coordinate, xshift=0.3](call_lower) at ($(chatLeftNode_call.north west)+(0,-0.7)$){};
            \node[coordinate] (call_point) at ($(chatLeftNode.north east)+(0,-0.55)$){};
            \fill[white] (call_upper)--(call_point)--(call_lower)--cycle;
            \draw[semithick,draw=white] (call_upper)--(call_lower);
            \draw[thin] (call_upper)--(call_point);
            \draw[thin] (call_point)--(call_lower);
        \end{tikzpicture}
    \end{flushleft}
    \vskip\baselineskip
}


\newcommand{\chatright}[2]{
    \begin{flushright}
        \begin{tikzpicture}
            \node (chatRightNode) at (0,0)
            {\includegraphics[height=2cm]{{#1}}};
            \node[coordinate] (chatRightNode_call)
            at ($(chatRightNode.north west)+(-0.5,-0.1)$)
            [
                draw, 
                thin,
                rectangle,
                rounded corners, 
                inner sep=0.8em,
                fill=white!100, 
                anchor=north east]
            {
                \begin{varwidth}{0.77\linewidth}
                    {#2}
                \end{varwidth}
            };
            \node[coordinate, xshift=-0.3](call_upper) at ($(chatRightNode_call.north east)+(0,-0.2)$){};
            \node[coordinate, xshift=-0.3](call_lower) at ($(chatRightNode_call.north east)+(0,-0.7)$){};
            \node[coordinate] (call_point) at ($(chatRightNode.north west)+(0,-0.55)$){};
            \fill[white] (call_upper)--(call_point)--(call_lower)--cycle;
            \draw[semithick,draw=white] (call_upper)--(call_lower);
            \draw[thin] (call_upper)--(call_point);
            \draw[thin] (call_point)--(call_lower);
        \end{tikzpicture}
    \end{flushright}
    \vskip\baselineskip
}

これを先頭のほうに書いておいて、以下のように書けばチャットアプリっぽい誌面の完成。

\chatright{figure/P_normal.png}%アイコン画像ファイルを指定
{
    そもそも電波ってどういうもの??\\
    スマホとかスタッフさんの無線は電波で通信しているのは\\
    知ってるけど……
}

\chatleft{figure/makino_katari.png}%アイコン画像ファイルを指定
{
    簡単に言ってしまえば電磁的な波のことよ。\\
    本来はマックスウェル方程式を解いたりする必要があるのだけれど……\\
    ライブも近いし、今日はとりあえず波とだけ理解してちょうだい。
}

コマンド出力結果

だいたい2500行のコードで本文42Pの本となった。

また、グラフについてはGnuplot, 図についてはdraw.ioを利用し、PDFを直接埋め込んだ。 これにより大半の図はベクタデータとなり、自己満足度が上がった。

さらに、簡単な校正ツールとして、吐き出されたPDFをWordにコピペしてチェックを行った。 簡単なてにをは程度はこれで確認できる。 さらに売り子にデータを渡して日本語や文章の矛盾をチェックしてもらった。

また、表紙、表紙デザイン、作中のアイコンを数年来の知り合いであるかいそー(@kaisooekaki)さんに依頼させていただいた。

大変お世話になりました!!

これに加えて、いつもお世話になっている狭間タスク(@JE1JGI)さんの「通信受験人 C102」への 電気通信主任技術者(伝送交換)の受験体験記の寄稿、 表紙写真の提供及び当書籍内の鈴木恵士郎(@JA8RQD)さんの一陸技問題解説記事の査読をさせていただいた。 また、狭間さんもPDF入稿されているとのことであったため、入稿用PDFのデータを提供いただき、 どのような体裁をされているのかの参考とさせてもらった。 大変お世話になりました!!

なお本書籍も電子版及び物理書籍の通販をされているので、ぜひご利用いただきたい。




当日の持ち物

リスト自体は調べれば出てくるのだが、大抵のものは100均やホームセンターで揃うので、大体入稿後に準備すれば間に合う。 揃うのだが……。

俗にいう「あの布」というテーブルクロス+ポーチが一体となった布とポスタースタンドは直前には手に入らない。

当選したら購入する勢いで準備しておいたほうがいいと思われる。

ちなみに今回は代用として黒の防草シートに切り込みを入れ、ツール用ポーチを取り付けたものを準備した。 ショボくても愛と工夫で上出来。 ポスタースタンドはそもそもポスターを作ってる場合ではなかったので購入していない。

あとは大体コミケットアピールを熟読しておけば行けるはず。 追加椅子は売り子のためにも借りておいたほうが良い。




当日感じたこと

完売後のオタク photo by はるかぜ

とにもかくにも「部数の読みを間違えた」ことに尽きる。 初めての同人誌作成だったので少なめ方向にバイアスをかけて部数を見積もっていたものの、 13:30ごろには売り切れてしまった。

ファンネルに出ていた売り子(@HRKZ_PT)と13:00ごろに売り子にバトンタッチした。 この時点で残部半分といい感じのペースであったが、そのわずか30分後には完売となってしまった。

購入層の分析としては、全体的にアイマスメインというよりは無線をメインとしている方が多かったようである。 売り切れ後にはP勢と思われる方が数名~十数名ほどスペースに来られた。 自スペースに来られたPの行動パターンとして、東のアイマス島を巡った後に西まで来られるというパターンであったと推察されるため、 P勢のもとにあまり届かなかったのは歯がゆい気持ちでいっぱいであった。

後になって「午前分と午後分を分ける」という概念を見たときはなるほどねとなったが、 そもそも午前終了の時点で半分の在庫があるんだったら実質分けているようなものではあるため、 やはり持ち込み数不足がすべての元凶感がある。 次回以降はもう1つ上のロットで持ち込んで、午前午後で販売在庫を分けるなどの対策が必要かもしれない。

また、完売後は「どちらで委託される予定ですか」という質問を受けることが多かった。 初めての同人誌作成で、スケジュールがギリギリであったため、当日の時点でどこで委託するかを決定していなかった。 最終的にはBOOTH自宅発送にしたが、そのBOOTHに誘導する手段は当然なかったため、そこでかなりの機会損失が発生した気がしなくもない。 自サークルの完売後にササッと行った他のサークルさんは、BOOTHのURL記載の名刺を配布されていたため、 委託や電子版への誘導手段はきちんと持っておいたほうが良いと考えられる。

即売会という場に参加して頒布したことのメリットとして、 なぜこの本を手に取ろうと思ったのか、という点を参加者の各位から直接聞けるのはものすごくよい刺激となった。 内容の詳細については許可を得ているわけではないので伏せておくが、 どういう経緯でこの本を手に取ったのか、何を求められているのか、このような本が欲しい、という言葉を生で聞けるのは大変にモチベが上がった。

さらに、今回お隣のサークル様もアイマス系技術同人を出されており、 アイマス系技術同人がより広がるよう決意を新たにした。 アイマス系技術同人増えろ増えろ……

申し込みジャンルについては、次回はアイマスでもいいような気がしてきた。 というのも本書籍はP勢に対して無線を広めたいという思いで作製したため、 やはりPが来やすいアイマス島に置いておくべきではないかと感じた。

また、知り合いに依頼された分についてはファンネルをお願いしたため問題なく入手できたが、 自分自身はほとんど自スペースに張り付かざるを得なかったため、 もう少しゆっくり東ホールまで回りたかった。

閉会後はそのままRTBし、ピザと酒をキメながらBS11で放送されたムビマスを見ていた。 記憶が正しければ、ムビマスはアイマスを追いかけ始めて、初めてリアルタイムで追いかけることができたアイマスコンテンツでもある。 それから9年半の月日を経て、アイマスの同人誌を作り、そして完売してしまう。 そのような特別な日に初心を思い出せるような映画が再放送されるのは、運命を感じてしまうものである。




次の機会についてはどうしようか検討中である。 というのもC103は申込期限が短いが、それまでにいい感じにネタをまとめ切れるかが不透明であるためである。

とはいえなんらかアイマスにかかわる本は出してみたいので、前向きに検討する。

今回は本当に様々な方にお世話になりました。 私の細かい要望にも応え、表紙デザイン等していただきましたかいそー(@kaisooekaki)さん、 売り子とファンネルをしてくれたはるかぜ(@HRKZ_PT)、 印刷データ等を提供してくださいました狭間タスク(@JE1JGI)さん、 若干のネタ被りがありつつも、もろもろ情報交換等していただいた隣のサークルのたなか(@tnk_make)さん、 サークルにお越しくださった皆さん、 そして私が同人誌を作るきっかけを与えてくれた恩師に深くお礼申し上げます。





















おわりだよ~(o・∇・o)























13歳